長く厳しい冬を耐えてようやく待ちわびた
 季節の到来。
 山里では春を告げるフキノトウが雪解けとと
 もに顔を出す。
 
 木洩れ日が射す森の中ではフクジュソウが
 あたり一面に咲き誇る。

  山肌に雪形が現れる頃、日本の春を象徴す

 る桜が咲き始め活気に満ちた空気に包まれる。
  地中の生き物たちは活発に動き始め、鳥た
 ちのさえずりが響き渡る。

 

 

  残雪は日増しに残り少なくなり、高山植物が
 一斉に咲き誇るシーズンの到来。
  ハクサンイチゲ、チングルマ、ニッコウキス
 ゲ、ハクサンフウロ、ショウカイアザミ、ハク
 サンシャジン、チョウカイフスマ、イワギキョ
 ウ・・・
  短い夏を色とりどりに覆い尽くしてくれる。
 残雪の白色とのハーモニーを奏でる演奏家たち。


 

  暑い夏が終わり、虫の音が聞こえる季節。
 ススキが穂を出し始め、秋の気配を感じる。
  山肌は深まる冷え込みに促されるように
 日々濃さを増して、錦色に染まる。
  寒い冬が来る前のお色直し。

 

 

 
 日本海から吹きつける烈風と雪で一面白一色
 に包まれる。

  長く厳しい冬の到来。
 山は雪に閉ざされ人の侵入を拒む。
 山頂を確認できるのは月に数えるほどになり、
 天候の厳しさを実感する。
  雪で覆われた森はひっそりと静まり返り、聞
 こえるのは吹きすさぶ風の音だけ。
  晴れた日には雪面にノウサギとキツネの足跡、
 生命の息吹を感じる瞬間。
 冬でも弱肉強食の世界に休息はない。