M-4 アルマゲドン H11・6/2

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 ホテルのフロントマンが、映画の無料券をくれたのである。

 男が定宿にしているSというホテルで、ここは日中は時間貸しもしており、ロビーで佐藤友美に似た女がどぎつく赤い口紅を引いた口に飲み込まれた細身のタバコを吸っていたりするのを見たりする。

 その日も夕方地下の駐車場に車を入れたら友美は駐車場のすみで緑のスーツを着て膝頭をそろえ、猫にえさをくれていた。

 券が「アルマゲドン」だったので観る気になり、ネクタイだけはずしてスーツ姿のまま100人劇場というところへ観にいった。

 6時50分の開演まで15分程ある。
受付に券を出し次回上映の「鉄道員」のパンフレットをもらいソファに座り
配役の名前を見ていた。高倉 健・・大竹しのぶ・広末涼子・吉岡秀隆
 北海道が舞台。吉岡〜ボソボソ口調〜北の国から・・

 浅田次郎の原作だが男は週刊誌のエッセイは読んだ事があるが、彼の小説は読んだことがなかった。ただ浅田次郎イコール感動と言う事は何度も聞いた。

 裏に書かれた解説を読んでいたら頭上から「おい!」という声がする。顔をあげたら目の前に「がんばれジャイアンツ」と書かれたビールがありその後ろに赤い顔をしたメフィストがいた。
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 「元気か!」
 「まあまあそれなりに普通」
男が答えるとメフィストは
「お前いつもそればっかだな。たまには最高!絶好調の中畑!とかそういうことないの。若者らしくないぞ。」

 「お前こそ何だ!こんな売れもしないサントリーのビール持ってきて!」
「まあまあ」

 メフィストは男に缶ビールを渡しとにかく乾杯と言ってタブをひっぱった。
「今日は何の用事だ」と男が聞くと
 メフィストはとなりに座り「巨人の次期監督は森だな。2年契約でつぎは堀内そして江川」と言いグビグビビールを飲んだ。

 「おいおいちょっと待て!まだ気が早いぞ」

 「長島はバブルの監督なんだよ。今は森とか野村とかの一見地味な堅実派が求められるる!企業に人気あるぞ。2人合わせりゃ、森の村!地味だろ。長島は島流しまだな。」

 「くだらん。景気が悪いときこそジャイアンツの優勝でパーッとよくなるんだ!」

 「ちゃうちゃう。阪神が優勝した方が景気がよくなる。関西のパワーはすごいからな。ノックが表彰ジョーだして来期はシートノックもやる。

 だいたい日本で受ける政治家ってのはいかに大衆ぽいかって事なんだ。武蔵丸に内閣総理大臣賞を渡しに小渕がきたのは外人力士だってこともあるけど、あれを見たら客は湧くぞ。

 ああいうので身近に感じて支持率は上がるんだよ。オマケにサッチーミッチーには言論の自由とか言って梨本も大喜び!」

 男は言う。「そう言えば小渕って電話魔らしいもんな。昔、愛川欽也もそうだった。」
 言い終わるとグビグビビールを飲んだ。
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上映時間になり2人は扉を開け劇場に入った。
「学校の階段」とか「鉄道員」の予告の後「アルマゲドン」が始まった。

 さすがにスクリーンが広く大迫力である。男はこれは絶対「スターウォーズ」は劇場で見なきゃと思った。
 ついこの間タイタニックをビデオの吹き替え盤で見たといったら会社のOL共に冷笑されたのである。

 特に吹き替えと言った時の馬鹿にした目線はすさまじいものでさらに
タイタニックでCGのネズミはよくないよ。本物出さなきゃ」と言った時には、ディカプリオの敵役ではないが、ほとんどOL全員を敵に回したのである。

 あんなに感動した映画でコンピュータグラフィックスどうとか言う人とは一緒に映画を見に行きたくないと言われたのだ。
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 映画が終わり、階段を降りるときにメフィストが口を開いた。

「米国は前は世界の警察と呼ばれていたけどいつから地球防衛軍も兼ねるようになったんだ。地球防衛軍はほんとはウルトラマンのいる日本が老舗だろ。インデペンデンス・デイもそうだったけど、この国の大統領の権限もすごいな。サントリーのボスのCMもそっくりさんじゃなくて
本物に交渉したらよかったんだよ。ギャラ次第じゃ受けたんじゃないのか、金もずいぶん使ったみたいだし。向こうの弁護士は高いかんな。」

 そう言うとじゃまたなと言いメフィストは踊り場でニヤリと笑い不思議の国のアリスのチェシャ猫のように笑いを残し消えた。

 男は7月の恐怖の大王について聞きたかったのだが、機会を逃したのである。

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