(サラ劇 2) 続 略語 H11・1/29

サラ−1へ
 「高木、面白いこと教えてやろうか」 課長が言った。
「何ですか?」
「お前、梶山季之っていう作家知ってるか。香港で客死した人だけど。」

カクシって何だろうと思いながら高木は「知りません」と答えた。

「じゃ東大出た宇能鴻一郎は?」
「うちの課長ったら困るんです。」高木はOLみたいな口調で答え「こんな感じの文体でしょ、よくOLが出てくる小説家」と今度は地声で言った。
「そうそう、よく知ってるな」
俺だって知ってるよと江川は言おうと思ったが、
やめた。

「ところで今OLって言ったけどOLってなんの略だ。」
「オフィス・レディ。事務所の女性」
「じゃOLの前はなんて呼んでたと思う。」
「ワーキングガール!」江川が口をはさんだ。
「う〜ん、いいとこきたけど、だめ!BGって呼ばれてたんだな。BGは何の略だ?」

二人は考え始めた。二人は同期入社である。それもバブルの最盛期の時の。
まず高木が言った。「ボディガール」
江川が言った「バスガイド」
どうせわからないので二人とも適当な単語をつなげただけだ。

「ビジネスガールだよ。仕事少女、このBGと言う言葉を生んだのが梶山季之なんだな。」

二人は顔からどんどん吹きだしている汗を拭いながら課長の顔を見ている。

 「BGがなぜOLに変わったかというと隠語が生まれたからだ。いつからかBGをバックガールと呼ぶ奴が出てきたんだな。」 この何々なんだなと言うのが課長の癖である。もう3回も会話にでている。

 これが出てくると話が長い。二人はますます顔から汗を吹き出しながら話を聞いている。

 「つまり後ろから前からどうぞの畑中葉子みたいなもんだ。そこでまずいということになってコウコクの誰かがオーエルと言う響きのいいフランス語を思わせる柔らかい言葉をもちだした。下にルの発音がくると語感がいいだろ。マドモマゼルとかな。ダーバン〜ソラミディアムとかドロンも言ってたCMも昔あった。知らないだろ。」

知るかそんなもん!
二人は思うが口には出せない。
「ところがだ。OLもそろそろ駆逐されるぞ。これはオーラルを想像させると言うことで」

あんただけだよ。そう考えるのはと二人は思う。
「コウコクが最近、中年過ぎの連中をなびかせ族とか言って持ち上げ流行させようとしてるが、OLの次はOSそしてCSとなるはずだ。」

何〜オーエス、シーエス?マックか通信衛星か?
二人はもう我慢ができなくなってきている。

「オフィスソルジャー カンパニーソルジャーつまり女性も兵士となる。お茶を出す余裕もなく働くということになりよってだめな男どもは消え去るのみのマッカーサー将軍」
と言いながら課長は手からしたたり落ちる汗を体温計を振るようにして振り切った。

「でも先があるぞ。一課の小原がいるだろ、俺と同い年の。ああいうのはBSって言うんだ。仕事はできるが ばあちゃんソルジャーってな、ハハ!」 

二人はついに我慢できなくなり今だと思い言った
「か、かちょーもう無理です。でましょーよ!」

「そうだな、じゃビールでも飲むか、行こっ」

3人はサウナから出て、シャワーを浴びた。
大広間で冷たいビールを飲みながら江川は思った。
消え去るのみのマッカーサー将軍の意味は分からないけど、人が消えていくコマーシャルって自動車保険だったけかと・・・・・・
そして二人を見比べた。 サラ−3へ

         トップページへ Drの一気読切 目次へ