メッセージボトル H11・5/28


 修学旅行の季節である。

 娘の部屋の本棚から年賀状のファイルを取り出し何気なくみていたら兵庫県から来た年賀状をみつけた。もちろん勝手に開いているわけではない。

 いずれ部屋に入るなとか、勝手にさわるなとか言われることが来ることは覚悟しているが今はまだ自由に触れるのである。

 兵庫県の宝塚市の近くの川西市からの中学生の女の子からの年賀状である。平成9年とある。

 長女が小学1年生の時の秋、家族4人で砂浜を散歩していた。打ち上げられた貝殻を拾ったり韓国の漁船から捨てられたのだろうハングル文字の洗剤の容器やウオッカの空き瓶を手に取ったりしながら歩いていたら、テトラポッドのそばで折りたたまれた紙が入っているドリンク剤の小瓶を見つけたのである。

 ふたを開けたら、小さく折りたたまれた便せんに、書いてあった。・・・佐渡島へ向かうフェリーから初めてメッセージボトルを海に・・・今は誰が拾ってくれるか期待でドキドキしています。・・そんな内容だった。

 住所は兵庫県川西市とあり中学生の女の子だった。所々青い文字が薄くなっている。

 私は娘に事の説明をし、手紙を書かせプリントアウトした地図に拾ったところの場所を記し(道川海岸だった。)ポストに投函したのである。

 数日後返事が来た。小1の娘にもわかるようにひらがなを多く使い、夏に修学旅行で佐渡に向かうフェリーから海に投げ入れたと書いてあり、佐渡でたらい船に友人と二人で乗っている写真が添えられていた。

 それから2、3度娘は手紙のやりとりをしていた。アクセサリーが同封されていたときもあった。

 年賀状はそのうちの1枚なのである。今は恐らく高校3年生に彼女はなっているはずだ。
4年生になった娘に写真や手紙をどうしたと聞くと、何年も前だからどこにしまったかわからないと言う。

 そう言いながらも、「この字何て読むの」と名字を聞くのである。当用漢字にない字なのだ。

 おそらく海や海岸には数多くのメッセージボトルが漂ったり、漂着しているのだろう。ただ目につかないだけなのかもしれない。私にとっても拾ったのは初めての経験だった。

 誰かが拾ってそして返事がくることへの期待。毎日返事が来るのを楽しみに郵便屋さんを待っている少女や、少年がいるかもしれないし、漂流したヨットから祈りをこめて流したボトルもあるかもしれない。

 娘が拾ったことにして手紙を書かせたが、拾ったのは自分ですよと私は送られてきた写真の子を見て思った。

 今はもっと可愛い子になっていることだろう。スティングの♪メッセージインナボトルと歌う曲が内容はわからないが思わず口にでる。

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