ゴールドカード H12・12/28
11月の話だが免許証の更新の案内が来たので警察署に出かけた。窓口で用紙に名前と住所を書き、呼ばれるまで長椅子に座っているとすぐとなりの机の上に「薬物の標本」というのがおいてある。大きな額縁を二つ折りにしたようなものにガラスを通して覚醒剤とかヘロインとか書かれたものが入っていた。
「触らないでご覧ください」と書かれている。まさか本物であるわけはないがレストランのショーウィンドウの料理のサンプルがあれほど精巧なのだからこれだって恐らく本物とかなり近いのだろうと見入った。
料理のサンプルなどは外人がお土産に買っていくというからああいうのは日本にしかないものなのだろうか。
覚醒剤と書かれた袋には白砂糖みたいなものが入り1gと書かれている。 粉末の1gとは結構あるものだ。二日酔いで世話になる胃腸薬の一回分の半分くらいだろうか。 そして0.03gと書かれた小袋があり一回分とある。 0.03gで一回分と言うことは1gで33回分だ。 TVで覚醒剤0.4g所持で逮捕などと言うニュースを聞く度にそんな少ない量で と思っていたのだがそれだけで10回分以上もあるわけである。
ヘロインと書かれた袋は見た目がまるで龍角散の粉のような色に見える。 (もしかしたらそのまま使っていたりして) モルヒネというのもありややピンク色をしている。
ハッシッシと思っていたのはハシッシュと書かれている。その親指大の樹脂の塊はまるでカカオのような形と色だ。 マリファナとかLSDの錠剤とかもある。
麻薬と覚醒剤の違いは麻薬とはヘロインやアヘンで鎮痛効果があり 恐怖心や不安感をなくすという効果があると本で読んだことがある。 覚醒剤は感覚が鋭敏になると言う話があり音がよく聞こえるせいか?ミュージシャンが使用し逮捕されたりしている。疲れたときに使用すると栄養剤みたいに効くとこれも読んだ。
他にコカインとかケシの標本もあった。 コカインの実は赤く南天の実よりは小さいように見える。葉はこぶりでどこにでもありそうなものに見えた。
確かアーサー・コナン・ドイルの書いた名探偵シャーロックホームズもコカインを吸引していたのではなかったろうか。(違うかな〜記憶違いか) もしそうだとしたら探偵の明晰な推理は実はコカインのおかげだったかもしれぬ。
以前どっかの病院の医師が麻酔薬を常用的に吸引していたと言う事件があった。医師の回りには漢方薬から麻薬、劇薬までなんでもある。 睡眠薬とか向精神薬とか精神安定剤とか何でも手に入るのだ。
ホームズの助手のジョン・ワトスンは元陸軍軍医だった。軍医には麻酔薬は必需品である。そこから探偵は麻酔薬として使用されるコカインを手に入れていたのではないか。うーむ。犯罪の陰に女あり。名推理に麻薬ありかなどとつまらぬ事を考えていたら名前を呼ばれた。
視力は大丈夫だった。 普通免許は両眼で0.7以上、片眼で0.3以上なのだが 大型免許の場合は両眼で0.8以上、片眼で0.5以上である。
そして深視力の検査もありこれは奥行知覚検査というのだが10cm程の細い棒が長い箱の中で20cm程離れて立っておりその棒の間を 同じ長さの棒が移動してきてそれを同じところで止めるという試験だ。
3回行い測定値の平均誤差が2センチメートル以下でなければならない。何でこの検査があるのかはわからないがたぶん運転する大型車両の長さを視認できるかどうかなのではないだろうかと思う。 2mほど離れたところから行いこれも無事パス。次に写真撮影をしておしまいだった。
私は次の順番を待っている家人にピースサインを出した。前回シートベルトの装着義務違反のわずか1点で苦渋をなめていた私は 「ようやっと肩を並べることができたのう。兄弟!」と菅原文太風の広島弁?で言い家人の肩を叩いた。
もうかなり前の事なのだが免許証の更新で適性検査をしなかったことがある。
男の係員は言った。 「目は大丈夫だろ?」 「ええ」私は答えた。
そして通常の視力検査を省き深視力の検査だけをした。
丁寧にも係員は3本の棒が並んだときに「はい!」と大きな声を出し手を振り下ろすのである。それと同時に私は親指でボタンを押す。 教えてくれなくても別に大丈夫なのだが、3回ともそうしてくれるのだった。
前にも同じ係員だったがこういうことがあった。 私の免許証には眼鏡等と書かれているのだが 視力検査が終わった後「じゃメガネを外してもう一回」 と言うのである。
「見えないからダメですよ」 と言うと「いいから、いいから」 と言う。 ぼんやりしてどの箇所も全く見えないのだがとりあえず「上、右」などとでたらめに答えていたら 「合格!」と大きな声で言うのだった。
「何だ〜?」と思ったのだが 次の免許証から眼鏡等の条件が消え裸眼でも大丈夫になった。 3回も続けてでたらめに答えて合っているわけがない。もし合っていたら 私は今頃ギャンブルで大成していたはずだ。たぶん合っていないのに 合格とこの係員は言っていたのだと思う。(もしかしたら合っていたかもしれないが)親切というのかいい加減というのか。
条件は消えたが裸眼で運転したことは一度もない。私の視力は裸眼で0.1以下なのである。メガネを外したら2m先の係員が笑っているのか怒っているのかもわからないのだ。
最近警察官の交通違反のもみ消しがニュースに出たりするがそれと比べると 他愛もない事である。あの手のもみ消しは他にもたくさんあるだろうと思う。他でそう言う話を聞いたこともある。コネや情実で役所にも就職できる 事があるのだから容易に考えられる。
私の適性検査を免除した係員は別に頼まれてやっているわけでもなく、全く好意というのかそれとも単なる気まぐれだったのかはわからない。 1時間ほど休みをもらい出かけた警察署で私は薬物の勉強をしそして昔の係員の事を思いだし、5年間は普通にしていれば警察署に行かなくていいというゴールドカードを手に入れたのだ。
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