1983アルコ堂メディア日記
5月後半分


このページは未森幸月がその日体験したメディアを紹介するものです。

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1999.5.16

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「おしゃれテレビ」
/おしゃれテレビ
まさに待望のCD化。

1986年は坂本龍一「未来派野郎」、矢野顕子「峠のわが家」、 大貫妙子「カミング・スーン」などが大々的に発売された年ですが、 「デモテープ1」とこのアルバムがひっそりと発売された年でもあります。 このアルバムについては宣伝方法さえ正しければ、 もっとテクノポップファンに支持されただろうことを思うと、 当時のミディ宣伝部に愚痴の一つも言いたくなるものです。

聴きどころは何といっても「アジアの恋」。 坂本龍一氏もカバーしたほど坂本的な楽曲。 はっきりいって、泣けました。CDで聴くことが出来て。 吉永敬子さんのロリータボイスは実に魅力的です。

坂本龍一氏が参加など聴きどころも多いですが、 まずは、音楽を担当なさった野見祐二氏の才能を充分御堪能ください。

・1986年
LP発売
・1999年
CD発売
BOOK 「東京トンガリキッズ
/中森明夫」
JICC出版局刊
80年代最高の青春小説集。

90年代にもそろそろお別れというこの時期、 80年代を回顧している。 この短編小説集も、その時代を語る際に忘れることができない一冊だと思う。 何もなかった時代といわれがちな80年代だが、 確実にその時代を生きた者が共感できるであろう 大切な物語の数々が綴られている。

それにしても、当時の彼ら彼女たちはどこにいってしまったのだろうか?。 今も、この90年代の日本のどこかで生き続けているのだろうか。 彼ら、彼女たちに今会いたいと思う。

・1987年刊行


1999.5.17

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「クロニック・ラヴ」
/中谷美紀
坂本龍一の「バレエ・メカニック」はもともと 岡田有希子に提供された作品「WONDER TRIP LOVER」だったが、 今回中谷美紀が再びカバーした。 中谷のアルバムが楽しみ。

いっそ、回顧モードで坂本龍一カバー集を作っても面白いかも。 黄土高原、セルフポートレイト、戦メリとか。 ・・・書いててこれ面白いと思った。あとは伊藤つかさの「恋はルンルン」とか、 大貫妙子「タンタンの冒険」とか、矢野顕子「I SING」とか、 彼が提供した楽曲のカバー集と二枚組みでぜひ販売してほしいもの。

・1999年
CD発売
BOOK 「なぜなにキーワード図鑑
/山崎浩一」
冬樹社刊
これは実に刺激的な一冊。 80年代半ばにして、これほど80年代の本質をつかんでいた書籍を他に知らない。

伝説期の宝島誌で毎月掲載されていた連載を単行本化したもので 様々なキーワードを彼流の解釈で解析していくのだが、 その切り口と大量の脚注の嵐が実に当時の状況を端的に表わしているような気がする。 オリジナル版と新潮文庫版があり、特に後者は大幅な加筆が加えられているため、 やはり、前者のオリジナル版をオススメしたい。

ちなみにキーワードをここに提示しておこう。
「女子大生」「ピーターパン・シンドローム」「ポスト構造主義」「リクルート」 「ビタミン」「人工知能」「竹下通り」「1984年」「ゲイ」「コピーライター」 「カフェバー」「ニューメディア」「ウォークマン」「田中角栄」「ビートルズ」 「核」「偏差値」「シティ・ボーイ」「トロピカル」「ツッパリ」「スーパーアイドル」 「ジョン・ライドン」「ビョーキ」「広告批評」「スター・ウォーズ」「ニューミュージック」
現在ではほとんど死語と化してしまったキーワードが多数あるが、 それゆえに、80年代前半の記録として有効なものになっている。

現在は、両方絶版になっているので古本屋で探索、ぜひお読みになってほしいもの。 情報量の多さが「1983アルコ堂EX」の見本にもなっている。

・1984年刊行


1999.5.18

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「TROPICAL Songs」
/PACIFIC 231
イタリア未来派から引用しているグループ名といい、 サウンドといい、アルバムコンセプトといい、 実に計算されたクールさを秘めているアルバム。 1995年から1997年にかけて発表されたミニアルバムを一枚にしたアルバムで、 タイトルどおり海を旅する気分にさせてくれる。

時折、細野晴臣的、カールストーン一派的なものを感じさせる瞬間があり、 それがまた、異国感覚を誘う。 このサウンドが日本から発信されていることを考えると、 なかなか感慨深いものがある。

・1997年
CD発売
CD 「遠い音楽」
/ザバダック
個人的に彼らの最高傑作と信じて疑わないアルバム。 上野、吉良の相性も最高。 どの曲もいいのだが、特に表題曲の「遠い音楽」。 また、小曲ではあるが「sarah」が特に気に入っている。 影響を受けて小説を書いた覚えがある。

この時期、種ともこが音楽というタイトルのアルバムを発表するなど、 音楽という言葉がキーワードだった時期でもある。

・1990年
CD発売
CD 「夏の日のオーガズム」
/ムーンライダーズ
TENTレーベル名盤復活シリーズの一環として発売されたもの。 この曲も真夏に聴くことが多く、 聴くたび夏独特の熱気を思い出してしまう。

・1986年
LP発売
BOOK 「バブル80’Sという時代」
アスペクト刊
結局、80年代という一つの時代は、 バブルという個人的に大嫌いな言葉で総括されてしまうのだろうか?。 80年代に蒔かれた種が 90年代の退廃的なムードを作るきっかけになってしまったのだということか?。 しかし、それでも、それでもだ、80年代初頭の確実に時代が変わると信じ、 思いつづけていた思いを捨て去ることは出来ない。 果たして80年代は何だったのか、それはこれから検証される、そう信じたい。

・1997年刊行


1999.5.19

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「最後の晩餐」
/ムーンライダーズ
1991年発表、ハウスよりのサウンドを聴かせてくれるアルバム。 個人的には、このアルバムを持ってムーンライダーズの音楽から離れることになるわけで、 文字どおり最後の晩餐となったわけである。

聴きどころは「10時間」。ムーンライダーズの詞、サウンドの変遷をたどるかごとくの楽曲。

・1991年
CD発売
CD 「Tide」
/高野寛
久しぶりのニューアルバムは高野さんいわく 「初めて、歌のためにアルバムを作りたいと思った」というだけに、 アコースティック色が非常に色濃く出ている。 打ち込みが好きな者としては、多少残念なところがあるのだが・・・。 皆既日食が今のところ好きな曲。 ジャケットは師匠であるところの高橋幸宏が 自らの音楽性を全肯定した色合いを持つ 作品「EGO」的な雰囲気。

・1999年
CD発売
CD 「LOVE EATING ALIEN」
/ドリーム・ドルフィン
大量リリース攻勢にいささか辟易しているが、 このアルバムだけは聴いておくべき価値がある。 (全くもって内容を練り、一年に一作品リリースするべきだと思うのだが) エンジェリックハウスがお好きな方にオススメ。

・1996年
CD発売
BOOK 「妖髪鬼談」
桜桃書房刊
日本幽霊話の根幹にかかわってきた 「呪物としての髪」の妖異を描く 近現代の名作怪談を集めたアンソロジー集。 泉鏡花、田中貢太郎、岡本綺堂から、 加門七海、大原まり子、中島らもに至るまで、 編者である東雅夫氏の腕が冴えまくっている。

・1998年刊行


1999.5.20

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「おしゃれテレビ」
/おしゃれテレビ
本当にいいアルバム。 「アジアの恋」の美しさは筆舌に尽くし難い。 アルバム自体、何度聴いても聞き飽きることがないのは、 やはり野見先生のお力なんだろうか?。

・1986年
LP発売
・1999年
CD発売
CD 「EGO」
/高橋幸宏
「レフトバンク(本作収録)」〜「リハビリテーション(次作収録)」を続けて聴くと、 次第に高橋氏が直っていく過程を窺い知ることができるが、 それらの作品から感じ取れる力強さは何処から来るのだろうと思うことがある。 やはり、自分自身を本気で表現するという部分から生まれるのだろうと思う。 そういう意味からも、この作品は高橋氏の生の感情が発動した作品ではないだろうか?。 高橋氏いわく、このアルバムは自分というものが出ていて、あまり好きではないらしいのだが、 個人的に初期ニューウェイヴの波をモロに被った作品と並んで好きなアルバムでもある。

・1999年
CD発売


1999.5.24

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「ワークス1965−1995」
/スティーヴ・ライヒ
十枚組のスペシャルボックス。 文字どおり彼の音楽が集大成されている。 ただ、基本的に既発売されているCDのボックス化ゆえ、 ダブリが生じているのはやむを得ないか・・・。 (ライヒワールド初心者にはぴったりの企画モノではあるが、 価格が価格なのである程度好きな人でないと購入しないだろうし)
ただし資料ブックの充実は素晴らしい。 坂本龍一、細野晴臣、石野卓球、ケン・イシイ、サワサキ・ヨシヒロ、竹村延和、 中谷美紀等などによるライヒ賛の文章なども読むことが出来る。
坂本龍一ファンで今だライヒワールドに接していらっしゃらない方は、 ぜひライヒの音楽に触れてほしいと思う。 音楽性は違えど、一時期の過激坂本的音楽を展開している数少ない音楽家だと思うからだ。

・1997年
CD発売
BOOK 「夢の島」
/日野啓三
日野啓三文学の最高傑作であり、 アルコ堂基本図書の一冊でもある本書。 日野氏いわく一種のトランス状態でかかれたものらしい。 東京臨海地区「夢の島」を舞台に、 初老の男、オートバイを駆る謎の女、 少年が登場、幻想都市東京の終末と再生をめぐる物語を紡ぎ出す。

この物語は二十歳前後に巡り合って以来愛読しているもので、 未だに読む度、影響を受けている。
考えてみれば、文学的なるもの、に目覚めた最初の書籍だったのではないか?。 この書籍と同著者「砂丘が動くように」はアルコ堂に訪れる方は必読の書。

・1985年
刊行


1999.5.25

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「坂本龍一のベターデイズ」
/坂本龍一
坂本氏のコロムビアに残した音源からセレクトしたディスク。 (1000のナイフからのセレクトは別にして) かつてこのような音楽を作っていたと思うと非常に驚きがある。 いずれにしろ、いわゆる坂本フレーズが随所で聴くことができ、 熱心なファンならば、ニヤリとすることうけあいのディスクである。

・1992年
CD発売
BOOK 「砂丘が動くように」
/日野啓三
海沿いの砂丘のある町にやってきたルポライターの男が、 少年に誘われ迷い込んでいく奇妙な町の夜と昼の光景。 超能力を持つ少年と盲目のその姉。女装する美しい若者。 夜の闇に異常発生する正体不明の無数の小動物キンチ。 刻々と変化して砂防林にも拘わらず死滅へと向かう砂丘。 (講談社文芸文庫より引用)

この素材で純文学の作品を作ってしまうのだから、 いかにこの時期の日野氏の意識が冴えていたのかが分かるというものだ。 体調が優れないようだが日野氏の作品のファンとして、 また新たな世界、ひび割れた日常に肉迫する作品を読みたいもの。

・1986年
刊行


1999.5.26

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「鉄道員」
/坂本美雨
前作「アクアスケイプ」に全くハマレなかった理由は簡単。 単純に曲が良くなかったから。 坂本氏の曲は良かったのだが、前アルバムのほとんどの曲をかいた 某氏の曲は格が違うというか単純に趣味ではなかったので。 前作はそれでかなり損をしていると思う。

今回のシングルは坂本節全開という感じで何度も聴いている。 やはり付加価値がないと購入した気分になれない。 この調子でフルアルバムに期待したい。

・1999年
CD発売
CD 「18人の音楽家のための音楽」
/スティヴ・ライヒ
こんなにクールでいいのだろうかと思えるディスク。
一定したパルスとリズムによる音楽が一時間以上続く。 この緊張感は真剣に音楽を聴くということを要求する。 数人のマリンバ奏者が別々に叩き分けることで、 さざ波のようなビートが生まれる。
テクノは過激なまでの反復にカギがあると思っているので、 まさにこれこそテクノサウンドといえる。しかもすべて生演奏!。
ライヒの前にライヒはなく、ライヒの後にもライヒはない。

・1998年
CD発売
CD 「子猫物語
オリジナルサウンドトラック」
/坂本龍一:音楽監督
坂本龍一、上野耕路、野見祐二、吉永敬子、渡辺蕗子と、 ほとんど、YMO&ゲルニカ&おしゃれテレビ&ショコラータが 一緒に音楽を作ったがごときアルバム。
やはり、吉永さんのボーカルはかわいくていい感じ。

・1986年
CD発売


1999.5.27

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「ウラBTTB」
/坂本龍一
これですよ、これ。叙情坂本龍一。
基本的に過激坂本龍一(B2−UNIT、未来派野郎)が好きなんですが、 メロディアスな坂本龍一も好きなわけでして。 欲を言えば、一枚のアルバムの中にその両方が入ったものが聴きたいですね。

余談はさておき、収録されている曲は3曲。 三共(株)リゲインEB錠のCM曲「energy flow」、 TBS系テレビ「筑紫哲也NEWS23」テーマ曲「put your hands up」ピアノヴァージョン、 映画「鉄道員」主題歌ピアノヴァージョンです。 結果的に移籍は正解だったのかも知れませんね。

あと帯の「ごめんね、教授」の元ネタって、 高橋幸宏のオールナイトニッポンの彼の言葉が元ネタなんでしょうか?<誰も知らないって。

いずれにしろ、次はオリジナルフルアルバムが楽しみです。 あ、オペラ「LIFE」があるか。 ぜひ、過激坂本復活を願いたいものです。

・1999年
CD発売
CD 「自分への手紙」
/西村由紀江
待望の西村さんの新譜が発売されました。 前記の坂本氏のシングルといい、ピアノづいています。 内容は、今までは割と情景描写的な雰囲気を持つ曲が多かったように思うのですが、 内面を表現するかごときの曲が多いようです。 写真も非常に魅力的なものばかりセレクトされていますし、 これを機会を西村さんのアルバムを手に取る方が増えると嬉しいのですか。

・1999年
CD発売


1999.5.28

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「泰安洋行」
/細野晴臣
マーティンデニー、レスバクスターなどのエキゾサウンドを経過した耳には、 これは極上の楽園サウンドに聴こえる。
世の中に耳あたりの良いサウンド、一聴して分かるそのな音楽ばかりあふれているが、 このアルバムは違う。 音楽(細野晴臣周辺、世界の異端な音楽たち)を聴けば聴くほど、 発見があるアルバムといったらいいのか。 細野晴臣が音楽に感じているであろう形にならない部分が、 形を変えてこのアルバムのあちこちに点在しているかごときのアルバムといっていい。
「エキゾティカ・ララバイ」。このアルバムを携えて、未知なる音楽の旅へ出かけよう。

・1986年
CD発売
CD 「潮流」
/アントニオ・カルロス・ジョビン
ボサノヴァの歴史的名盤「波」の続編的アルバム。 まずは、オープニング「イパネマの娘」を聴いて涙すべし。 ストリングス、フルート、木管を生かしたアレンジに乗り、 ジョビンのピアノ、ギターが心地よく奏でられる。 「波」が好きな人にはおすすめできるが、 少し難しい部分もあるのでご注意を。

・1970年
CD発売
・1998年
CD発売
CD 「シティ・ライフ」
/スティヴ・ライヒ
ミニマル+サンプリングミュージック。 アメリカ版「未来派野郎」がここにもある。 スティヴ・ライヒは、個人的に期待している過激坂本龍一音楽の理想形という感じ。 坂本龍一氏がこういうことをやってくれたらいい という部分を実践してくださっている。

・1996年
CD発売


1999.5.30

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「特撮映画マーチ集」
/伊福部昭
「マニア待望、地球最強のサントラここに出撃!
血わき肉おどる伊福部ワールドの極致!!」(帯から引用)
まさに看板通りの名盤。 特撮ファンのみならず、異端で孤高の音楽家伊福部昭のサウンドを充分堪能してほしい。

・1994年
CD発売
CD 「食物連鎖」
/中谷美紀
彼女にはテクノポップが良く似合う。 「MIND−CIRCUS」、「my best of love」など、 さすが、テクノポップサウンドを先導してきた坂本龍一氏だけあって、 ツボを押さえた編曲になつている。特に間奏の素晴らしいこと。

・1996年
CD発売


1999.5.31

メディア タイトル 感想(その日の気分) 備考
CD 「愛の悪魔
・オリジナルサウンドトラック」
/坂本龍一
坂本氏いわく「ソロアルバムに近いもの」になっているアルバム。 ピアノのシンセサイザー中心で作り上げられているが、 「BTTB」とは似て非なるものになっている。 音楽的には音響派的で前衛的なサウンドに仕上がっている。
やはり、スナオ坂本もいいが、実験的なサウンドを作る過激坂本も見逃せない。 坂本氏と半野喜弘の往復書簡は非常に読み応えあり。 80年代の坂本氏の言論を彷彿させる出来で、 昨今の彼に対する物足りなさを吹き飛ばしてくれた。 やはり、笑いを取る坂本氏より、頭脳明晰ぶりを発揮してくれる坂本氏が最高。

・1999年
CD発売
BOOK 「幻想文学55」
/特集:ミステリー
VS幻想文学
小特集の京極夏彦考も捨てがたいが、 幻の作家山尾悠子さんの新作が読めるのが実に嬉しい。 (彼女の作品集が国書刊行会から発刊とのニュースも!!。楽しみ) 芦辺拓さんの森江春策シリーズも読めるし、 本誌の内容も読み応えがあり、これほど配本が待ち遠しい雑誌もない。

・1999年
刊行


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