メディア日記


このページはその日体験したメディアを紹介するものです。

1998.5.6


CD
「ポテトボーイズ・NO.1/イモ欽トリオ」
FLCF-3612・発売日1985.11.17


細野晴臣氏は優れた作曲家というのは、ここで改めて語るまでもないことではあるが、
同アルバムを聴くたび、その思いが一層深まっていく。
このアルバムに氏が提供している曲は全部で3曲。
「ハイスクールららばい」
「失恋レッスンA.B.C」
「雨のライダーブルース」
そしてCDのみ収録の「ハイスクールららばい・カラオケ」
の全4曲。
収録されている他の曲が風化しているのに対して、これらの曲は輝きつづけている。

「ハイスクールららばい」はほとんどYMOだというのは、機会がある度に何度も語られているが、
意外にも彼らのアルバムに収録されている「失恋レッスン」「雨のライダーブルース」は、
細野晴臣作品の名曲として知る人ぞ知る曲となっている。
前曲は、細野晴臣氏いわくシングルカットしたかった曲だし、後曲はYMO「BGM」的な曲。
(余談だが、このアルバムのバックを担当したのは鈴木慶一が抜けたムーンライダース!)

それにしても、もう一度細野晴臣氏のテクノ歌謡を聴きたいと思うのは私だけだろうか?。
分かりやすいキャッチーな曲でありながら、実験的な編曲が行われていて、
なおかつヒットしてしまうという珠玉の曲が聴きたい。
(松田聖子の「天国のキッス」、中森明菜「禁区」などはその好例)

今日の結論:細野晴臣氏のテクノ歌謡全集アルバムが企画されることを切に願いたい

1998.5.7


CD
「カップルズ/ピチカート・ファィブ」
32DH-637・発売日1987.4.1


カップルズのコンセプトは「もう若くない」ということだったそうだが、
デビューアルバムでこんなコンセプトを掲げる小西さんというのは、
やはりただ者ではないと思わせる。

一連のA&Mレーベル作品が好きで、
ロジャーニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズのアルバムが好きで、
はっぴいえんどが好きで、
橋本淳+筒美京平が好きで、
ジョン・セバスチャンが好きで、
ジャッキー&ロイが好きで、
バートバカラックが好きで、
バッファロー・スプリングフィールドが好きで、
ハーブ・アルバートが好きで、
とにかく、その手の音楽が好きな人にとっては、
たまらなく切ないアルバムになっている。

個人的には、ピチカートファイブがコロムビアに移籍した後よりも、
断然この時期の音楽が好きであるし、このアルバムこそが彼らの最高傑作だと思う。
そういう意味では鴨宮瞭、佐々木麻美子両氏が、
音楽性の違い、ライブが出来ないなどの理由によって、
メンバーチェンジされたのは、やはり惜しい気がする。
(ちなみに鴨宮氏のMANNAはカップルズの良い部分が継続されていて好きなアルバム)
逆に言うならば、この一生に一枚のアルバムを作ったことで、
あとは自由な音楽を作ることが出来るのではないだろうか。

ともあれ、
このアルバムとノンスタンダードから出た2枚のミニアルバムは、私の大切な宝物。
・・・多分、この先も。


今日の結論:古くならないアルバムって最近なかなかないなぁ

1998.5.8


CD
「日本の心音」
VICG-5466・発売日96.12.4


サウンドスケープをご存知だろうか?
サウンドスケープとは、視覚的な景観=ランドスケープに対して、
聴覚的景観、音の風景を意味する言葉である。
つまり、視覚の陰にあって日常では無意識化されがちな私たちの環境への、
聴覚的思考を喚起するための考え方であり、
同時に聴覚を切り口としながらも、
最終的には私たちの五感、全身の感覚を通じて、
環境をとらえようとする考え方である。

この考え方を提言した、カナダのR.マリーシェーファーについては、
YMOの写真集、「OMIYAGE」、坂本龍一が著書「教室の犀」に触れ、
「将来は、自分もこんな活動をしたい」と語っています。

さて、このCDについてです。
平成8年6月、全国的な音環境保全対策の普及促進を図るために、
環境庁が公募した、「日本全国各地で人々が地域のシンボルとして大切にし、
将来に残しておきたいと願っている音の聞こえる環境(音環境)」に対して、
全国から寄せられた738件の応募より、
「日本の音風景検討会」の選定審査の結果に基づき、
音環境を保全する上で、特に意義があると認められるものを選定した
100件の「音風景」から12箇所を収録したものです。
(何やら仰々しいですね、文章が)

収録されているものは、
「碁石海岸・雷岩の海鳴り」
「宮城野のスズムシ」
「山寺のセミ」
「水琴窟」
「那智の滝」
「山口線のSL」などなどです。

とまあ、書いてきたけれど、個人的にはなぜ都市の騒音は収録されないのか、
非常に疑問を覚える訳です。
これこそ、時代とともに風化する最たるものであるし、
時代のシンボル音そのものではないのかと思う次第なのですが・・・。


今日の結論:やっぱり自然音のみが残すべき音なんでしょうか?

1998.5.9


CD
「FUTURISM&DADA/REVIEWED」
SUBCD012-19・発売日


この輸入アルバムは未来派とダダイズムの音による記録です。
ルイジ・ルッソロのシンセサイザーの元祖のような楽器(?)イントナルモーリの演奏。
坂本龍一氏のアルバム「未来派野郎」バラエティーショーの中で、
サンプリングされているマリネッティの演説などが収録されているアルバムです。
特に前者はミュージックコンクレートの元祖のような存在だと思います。

未来派とは、1909年、イタリア、ミラノで始まった総合的な、芸術・政治・生活運動。
19世紀的な枠組を破壊することに努め、自らが文明の最先端にいることを自負、
新世紀の高揚と未来への楽天的な展望を次々に宣言文として発表した。
中心人物は、マリネッティ。

それにしても、過去のすべての文化を覆し、新しい運動と速度、雑音を愛した未来派の思想は、
実に今日的な思想であり、現在でも充分通用するメディア革命だったと思います。
結局、50年早いがためにファシズムに取り込まれていきますが、
第二次大戦後、ファシズムの敗北と同時に、未来派の歴史は一旦閉じられるのでした。

先日のサウンドスケープではありませんが、
時代と共に生きそして風化していった(あるいはしていく)このような音をもっと聞きたい、と思います。


今日の結論:ダダの解説を忘れました。

1998.5.10


CD
「Little-Present/ホルガーヒラー」
CD番号なし・発売日1997(?)


新宿駅のドアが閉まりますのアナウンスと、ホームにあふれるサイン音楽で始まるこのCD。
ホルガーヒラーが東京周辺で採集したたくさんの都市の音を収めたもの。
アンパンマンは出るわ、
立花ハジメの音楽はサンプリングされているわ、
銀行のキャッシュコーナーの女性合成音、
ヨドバシカメラのCM、
電車の音、
宣伝車の音、
雑踏の音、
TVの音など、
都市の様々な音が収録、音楽とミックスされているこのCDを聞くと、
20世紀最後の東京の民族音楽という感じがして非常に好感が持てます。

この感覚はどこかで体験したはずと考えたら、
YMOのファーストアルバムを聴いた時と同じなんですね。
あのアルバムも都市感覚(70年代終盤の東京)と、
エキゾティック感覚とが一種混沌としていましたが、
あの感覚なんです。

そんな感覚を持ったアルバムが久しぶりに聴きたいものです。

今日の結論:もっとこの手の都市のサウンドスケープを記録したCDが聴きたい。

1998.5.11


CD
「ラングレー・パークからの挨拶状/プリファブ・スプラウト」
ESCA5316・発売日1988.5.22


高橋幸宏氏のアルバム「A DAY IN THE NEXT LIFE」をお持ちの方は、
「360゜」という曲を思いだしてください。この曲のアレンジについてどう思われますか?。
いつもと違う雰囲気のミックスだなあと思った方には、
多分今日のアルバムはしっくりとくるのではないでしょうか?。
このアルバムで3曲のエンジニアを務めたRICHAD MOAKESが高橋氏の同曲に参加しているため、
ほとんどプリファブ・スプラウトサウンドになっています。
特に後半唐突に入ってくるシンセ音がいかにも彼の仕事だなあと感じさせるのです。

さて、プリファブ・スプラウトです。
昨年5月に7年ぶり(!)のニューアルバム「アンドロメダ・ハイツ」をリリースしたのが、
記憶に新しいですが、彼らの最高傑作がこの「ラングレー・・・」なのです。
(ちなみに、一曲目のキング・オブ・ロックンロールは、
機種によるけれどカラオケに収録されている時があるのでした)

彼らのサウンドにはまったく新しい流行になるようなものはないのですが、
その曲たちは懐かしさにあふれています。
リーダーであるところのパディ・マクアルーンのどこまでも青い詞と曲が、
そう思わせるのかも知れません。
多分、彼らの瑞々しさと永遠のロマンあふれる香りに包まれた曲は、
スタンダードとして残っていくと思います。
ただ、残念ながら知名度が日本では今一つなのが惜しまれます。

日本でいうならば、位置的にピチカートファイブに近いのでしょうか?。
「もう若くない」というテーマで作り上げた「カップルズ」。
ピチカートファイブはその後方向転換していくのですが、
プリファブ・スプラウトは、その若さを常に保ちつづける希代のアーティストであると言えます。
月日を超えて人の胸に響いてくる音楽を、ぜひ体験して欲しいと思います。

実は、高橋氏の音楽もそういう存在になりえたのかも知れません。
中期、自作詞ではなくなってしまったのが、つくづく惜しまれるのでした。

今日の結論:次は何年後のリリースでしょうか?

1998.5.12


CD
「伊福部昭の芸術5 協奏風交響曲/協奏風狂詩曲」
KICC-179・発売日1997.10.22


伊福部昭というとゴジラなどの映画音楽を作った人、という印象が強いが、
実は、現代音楽の巨匠であり、未来派的、機械主義的気分をもった作曲家である。
このアルバムを聴くたび、その思いは強くなる。

このアルバムは、1942年、センセーショナルな初演で当時大きな話題を呼んだ幻の大作、
ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲。
この作品は初演以来一度も再演される事なく戦争中焼失したとされ、惜しまれていた作品。
今回、パート譜の発見とその再編作業によって総譜になったもの。

スピード感覚にあふれていて、聴いていて実に心地よい。
坂本龍一のオーケストラ作品が好きな人には絶対お勧めできる作品。
彼の作品「1919」にも通じる力強さを持っている。

今日の結論:アメリカ版ゴジラの音楽にはがっくり

1998.5.20


CD
「一風堂/土屋昌巳ベリーベスト・すみれセプテンバーラブ」
ESCB-1866・発売日1998.4.1


今思えば、80年代初頭のCM音楽は面白かったと思う。
例えば、化粧品。
矢野顕子の「春先小紅」、
YMOの「君に、胸キュン。」、
藤村美樹の「夢恋人」、
忌野清志郎&坂本龍一の「い・け・な・いルージュマジック」
などのYMOがらみの曲が使用され、いずれも大ヒットしていたし、
資生堂のイメージCMでは、坂本氏のインスト曲がさりげなく使用されていたのだ。
あっ、教授だ、細野さんだと騒いだものである。

そして82年7月21日に発売された一風堂のすみれセプテンバーラブも、
その仲間入りをしたのだった。
化粧品のCMに使用され、10月にヒットチャート、ベストテン番組に登場、
土屋昌巳の妖しい風貌がお茶の間を席巻したのだった。

このベストアルバムを聴くと、その当時の息吹が感じられる。

それにしても、私が一番好きなアルバムは、83年7月1日に発売された「ナイトミラージュ」であるが、
これも含めて、6枚ある彼らのオリジナルアルバムは1枚しかCDとして発売されていない。

裏−ポップ−YMOとして、再評価が期待されるグループである。


今日の結論:JAPANのラストライブには土屋氏がギターで参加したのでした。

1998.5.21


CD
「少女隊/FROM・S」
32LD-87・発売日1986.10.25


大友克洋のコミック「アキラ」が映画化!になるということを聞いて喜んだファンも多いだろうが、
実は当時、私は単純に喜ぶことができずにいたことを正直に告白しておこう。
それは、単純な原作ファンの感情や、アニメに対する先入観といったものではなく、音楽についてだった。
芸能山城組の音楽はすばらしいかもしれないが、
映画「アキラ」には、民族系の音楽が合うだろうという意識がまったくなく、
細野晴臣率いるFOEこそ「アキラ」にふさわしいのだと思っていたのだ。
彼らの過剰なまでのテクノが。
ラストの都市大破壊シーンでFOEの「DECLINE−OF‐CITY」がかかっていたら・・・と思うのは私だけ?。

さて、余談はさておき、少女隊である。(笑)
少女隊といえば、30億あまりの資金をつぎ込んだあげく、
空中分解してしまった、特異なアイドルグループであるのだが、
その最終段階にリリースされたアルバムがこの表題アルバム。

他愛のないアルバムといってしまえばそれまでだが、
実は、FOE(細野晴臣プロジェクト)が残したアイドルアルバムでもある。
参加したアーティストは細野晴臣氏、越美晴氏の両氏。
細野晴臣氏は一曲、越氏は一曲、
そして競作として一曲が収録されている。

細野作品は、メーキング・オブ・ノンスタンダードミュージックの別バージョン。
(ちなみに、この作品はアーバンダンスにも提供されている)

曲を聴くたび、FOEプロジェクトがアイドル界で活躍していれば、と思う。
同時期、アイドル冬の時代が到来しつつあり、
逆に自由にやれる状況にあったのではないかと思うのだ。

FOEの過剰なビートにのせて、アイドルがTV画面で歌う姿を見たかった。

結局、FOEとは何だったのか?。
今後の研究課題の一つではある。


今日の結論:祈願!。ボディ・スナチャーズ日本語版CD化!

1998.5.22


コンサート
「1998遊佐未森コンサート・エコー/仙台青年文化センター/5.21」

久しぶりのコンサート、遊佐未森のコンサートということで、大いに期待していた・・・、
といいたいところだったが、実はあまり期待していなかったというのが正直な気持ち。
結果的にはそれは良い方向に裏切られたのだが。

ファンクラブ(会員番号4480)の小冊子で衝撃の入籍発表があったせいか、
会場の雰囲気が少し変わっていたような気がする。
(結局、ファンに入籍発表しなかったけれど)

今回、最新アルバム「エコー」から全曲歌唱。
ライブでは、どうかなと思っていただけに、
(これが、今回期待していなかった一番の理由)
実際に聴いてみると、実に良かった。

また、東京、仙台、盛岡のコンサートに行っている私ではあるが、
仙台で行われたコンサート中、過去一番盛り上がったのではないか?。
ちなみに今回のNHKホールは欠席。

個人的に一番好きな「咲くといいな」、
またコンサートの最後にはアカペラによる「つゆくさ−小夜曲」が演奏されたのが印象的。

今後も遊佐未森のコンサートに参加したいと改めて思った。


今日の結論:ツアーパンフが高かった

1998.5.29


CD
「パシフィック231/ミヤシロ」
SYDW-0011・発売日1998.3.21


例えば、マーティンデニーのアルバムを例にとろうか。
彼のアルバムを聴くことでここではないどこか、
(具体的には)彼の心の中にあるハワイという場所に誘ってくれる。
ただしここで重要なのは、
そのハワイという場が、今あるハワイでも、かつてあったハワイではなく、
彼の心に抱いた幻想としてのハワイである、というところにある。
聴いた者のみが体験できる、ハワイという南国幻想。

それが私にとっての音楽体験の基本であり、
それがない音楽を聴くことができない理由の一つであるのではないか。
ここではない、しかし、現実にはどこにもない場所に誘ってくれる音楽こそ、
私にとっての音楽といえるものなのかも知れない。

ということで、パシフィック231、待望の新譜「ミヤシロ」、である。
日系二世であるミヤシロ兄弟の作品をとりあげているこの作品集、
(もちろん、架空の人物である)
その発想がまず良い。
次にコンセプト。
前作「トロピカル・ソングズ・ゴールド」が海の旅であるならば、
今作は懐かしの空の旅。
目的地はここではない、どこか。幻想としてのエキゾテックな楽園。
そして、音。
フランス近代とビッグ・バンド・ジャズという二つのジャンルをつなぐような音。
異国情緒あふれる音。

細野晴臣は前作を評価して、
「新鮮な響きは、東洋の海原から世界へと共振していくだろう」と評価しているが、
今回のアルバムを聴いたことでその思いは一層強くなった。

モンドミュージックの一時的流行は、数多くの作品を生み出したが、
このアルバムはその現象の表層だけにとらわれず、本質的な良質の部分を引用、
みごとに作品にすることができたのではないだろうか?。
エキゾというキーワード。
これこそ98年版YMO。
93年のYMO再生に望まれていたのは、つまりそういう部分だったのかも知れない。

この夏このアルバムを何度も聴く予感がする。


今日の結論:ワールドスタンダードもこういう音楽を作ってほしい

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