1983アルコ堂メディア日記
2000年9月下旬分


このページはmimo1983がその日体験したメディアを紹介するものです。

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2000.09.21(木)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
CDS

愛し愛されて生きるのさ/小沢健二


以前にも少し書いたような気がするが、 フリッパーズギターのファンだったアルコ堂主宰者は、 どちらかというと小山田派かもしれない。

この場合音楽性うんぬんは関係なく、 音楽を聴く場合、 歌詞よりコンセプト、音響が気になる音楽的嗜好の個人的な問題に過ぎないのだが。

そういうわけで、小沢健二氏の音楽を聴きはじめたのはほんの2年ほど前の話になる。

過去や未来を表現する言葉は比較的ありふれているが、 リアルタイム、つまり現在を描写する言葉は難しい。 現在を表現した瞬間に、過去へと過ぎ去ってしまうから。 一種未来預言的小説「ノーライフキング/いとうせいこう」では、 「瞬間の少年の物語を作り出すため、 いとう氏が悪戦苦闘した」と、同小説を発表した際、 様々なメディアで語っているが、小沢氏の言葉には、 そのリアルタイムの表現が感じられる。

「愛し愛されて生きるのさ」には1994年のどこにもない、 でもどこかに確実にある物語を感じることができる。 そしてそれは小沢氏の他作品にも共通する感覚。 ある意味、現在をリアルな言葉で 表現することができる稀少な存在のアーティストといえる。

というものの、歌詞に難解な言葉、 あるいは流行している言葉はほぼ皆無。 むしろ、オーソドックスとさえいえる言葉の数々。 この場合の重要点は彼が持っている鋭い洞察力にあるのではないか。 それは表層的なものではなく、時代を見通すような能力。 ある意味、現在沈黙を続けている理由がなんとなく分かるような気がする。 今の日本では彼が語るべきことは恐らくないのだろうから。

同時収録されているカラオケに対する個人的物足りなさは それで理由づけられる気がする。言葉がないということ。 個人的に音楽を聴いても言葉は耳に入ってはこないのだが、 彼の音楽からは言葉が伝わる。 ある意味、矢野顕子氏などと並び非常に貴重な存在だと感じる。

ずいぶん長い沈黙を続けているが、そろそろ彼の音楽が聴きたい。 果たして過去作品以上に言葉が前面に出る作品なのか、 それとも…。


今日のひとこと:
とはいうものの小山田派のアルコ堂主宰者。


1994年07月20日CDS発売
「愛し愛されて生きるのさ/小沢健二」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「海と少年/大貫妙子」
矢野ヴァージョンが基本的に好きだが、 オリジナルの大貫ヴァージョンは初々しくていい感じ。

MUSIC
「約束はいらない/坂本真綾」
何度聴いても坂本真綾の最高傑作としか思えない。 菅野よう子氏という素晴らしいプロデューサーに恵まれた彼女は幸福だった。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月21日分
1983誕生日登録派−09月26日まことさん


・本日のインプットメディア

BOOK/香港頭上観察/赤瀬川原平
BOOK/ベトナム低空飛行/赤瀬川原平
BOOK/イギリス正体不明/赤瀬川原平
BOOK/ベルリン正体不明/赤瀬川原平



2000.09.22(金)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
CDS

Winter's Tale〜冬物語〜/高野寛&田島貴男


この曲を聴くと過去の思い出が甦る。 スピードの音楽が何度も何度も繰り返し流されていたスキー場でのこと。 この曲が何故か唐突に流れだし、次の瞬間にゲレンデの風景が変わったという思い出。 (ただしこの場合、実際に風景が変化したということではない。 言い換えれば自分自身の意識が変わったということなのだが)

「ひとりになっちゃうと時代に対するアンテナがニブるんじゃないかと思う。 ひとりの中に閉じこもる時期も必要なんだけど、 それだけじゃまずい」坂本龍一YMO散開時の発言より。

優れたアーティストは他のアーティストたちとの共同作業、 コラボレーションが多いような気がするが、 坂本龍一氏による前記の発言は共同作業を意味づける意味からも重要な言葉ではないか。 坂本氏に限らず、YMO周辺の優れたアーティストたちにその言葉は似合う。 共同作業によって一たす一が二ではなく、 五にも十にもなる可能性があるということであり、 一音楽ファンとしては喜ばしいこと。

また、それほど大上段に構えなくても、組み合わせの妙を楽しむこともできる。 例えば遊佐未森を例にとってみよう。遊佐未森+古賀森男のクリスマスシングルは傑作だったし、 遊佐未森+細野晴臣+甲田益也子+小川美潮による「LOVE,PEACE&TRANCE」は、 ポップなアンビエント作品として今だに愛聴している。 あるいは「ナイトノイズ」との共演などの活動では 音楽的な意外性とそのアーティストの音楽性の広がりを楽しむことができた。 もはやコラボレーションはアーティストにとって必要不可欠な行為なのかもしれない。

そこで、高野寛&田島貴男の組み合わせだが、 感触として高橋幸宏&鈴木慶一によるビートニクスを彷彿させる。 どちらも好きなアーティスト同士でなおかつ共同作業がうまくいき、 クォリティーの高い作品が完成しているという部分が共通している。 どうやら「村上龍と村上春樹という優れた小説家が同じ部屋で小説を書いているような状態 〜坂本龍一氏の発言から」にはならなかったようだ。

コラボレーションといえば10年ほど前から考えている夢。以前も書いたのだが、 プロデュース細野晴臣、遊佐未森+高野寛という組み合わせのユニットが出来ないかと思っている。 今となっては中堅の遊佐未森、高野寛両氏だが、 彼らのごく初期にこの組み合わせで作り出す音楽が聴きたかったのだ。 新世代のネオアコースティックサウンドとテクノポップが融合することで、 新しい音楽の地平に行くことができたのではないかと。

日常テレビ番組はほとんど見ないため、 実際の映像作品は見る機会がなかったのだが、 この二人の共同作業による音楽が流れた瞬間というのは、 あの時のゲレンデのような風景が広がったのだろうか。


今日のひとこと:
カップリングはボサノヴァテイストあふれる楽園音楽。 Winter's Tale〜冬物語〜との対比が面白い。


1992年11月04日CDS発売
「Winter's Tale〜冬物語〜/高野寛&田島貴男」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「HASU KRIYA/LOVE,PEACE&TRANCE」
遊佐未森がリードボーカル。この路線でぜひ一枚、と思っていたら 東芝に移籍してしまった…。

MUSIC
「WISPERS IN THE DARK/LOVE,PEACE&TRANCE」
甲田益也子がリードボーカル。短い曲だが、彼女のイメージ通りの可愛い曲。

MUSIC
「HUSH‐A MANDALA NI PALI/LOVE,PEACE&TRANCE」
小川美潮がリードボーカル。さすがTRANCEたる所以。 ちなみに遊佐はLOVE、甲田はPEACE。

MUSIC
「AINA/LOVE,PEACE&TRANCE」
細野晴臣がリードボーカル。実はこのコンセプトグループを一番楽しんだのは細野晴臣氏ではなかったか。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月22日分


・本日のインプットメディア

特になし



2000.09.23(土)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
CD

マージナルサウンドトラック/細野晴臣音楽監修


この秋(注:1988年秋)、NHK−FMにより、 PCMサラウンドの最新技術を駆使したラジオドラマ (5夜連続)としてオンエアーされたが、その異常ともいえる 人気の盛り上がりは一種の社会現象といえるものだった。 そしてラジオドラマの興奮さめやらぬいま、ついにアルバムとして 「マージナル」がリリースされるにいたった。

個人的に小説を読む場合舞台となる世界(世界観)が広ければ広いほど嬉しくなる。 例えば好きな小説を挙げると「百年の孤独/ガルシア・マルケス」 「ゼウスガーデン衰亡史/小林恭二」「マシアスギリの失脚/池澤夏樹」 「AKIRA/大友克洋」「宇宙世紀シリーズ」といったもの、 あるいはSF小説作品の数々。

これらの作品世界に思いを馳せる感覚というのは、 ここではないどこかに旅することができる音楽を聴くことに近い。 そういう意味で、このサウンドトラックの原作者である萩尾望都もその系統のものを 数多く作り出している。

本作を初めて聴いた時の印象は中近東のイメージがあったのだが、 久しぶりに聴くと実は他ならぬ亜細亜の風、大陸の風を感じる。 それは細野氏の作品「ナーガ」に通じる感覚。 モナドシリーズ〜本作〜コンセプトとしてのクワイエット〜ナーガと続く系統といえる。

当時録音した「マージナル」を久しぶりに聴いてみようか。


今日のひとこと:
マージナルイメージ編も再び買い戻さなくては…。


1988年11月05日CD発売
「マージナルサウンドトラック/細野晴臣音楽監修」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「オープニングテーマ〜夢の子供達〜/福澤諸+コシミハル」
細野晴臣編曲。聴けば聴くほど不安な気もちになるがそれも作品のイメージに合致させるためか。

MUSIC
「せせらぎ/西村由紀江」
のびやかな音楽。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月23日分


・本日のインプットメディア

BOOK/キス/キャスリン・ハリソン
COMIC/星のローカス4〜5/小山田いく



2000.09.24(日)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
CD

春の夢/川村万梨阿


セントギガの潮流はまだ心の中で流れている。 このアルバムはその流れを汲むアルバムの一つ。 そして川村万梨阿はセントギガでナレーションを務めた声優であり、 音楽的にクワイエットな一枚。

誤解を恐れずに書くならば声優系のCDは 音楽面うんぬんというより、 キャラクターが重要なのだと思っている。 時折、坂本真綾、池澤春菜というような、 突出した才能の持ち主が 製作する特異なアルバムが発表されることがあるが、 それはごくまれなこと。 ほとんどはキャラクターが前面に押し出された作品になってしまう。 そこが物足りなさのひとつ。とはいうものの可能性がないわけではないのだ。 個性的な声質を持つ彼女たちが一斉に、 一般、あるいは一部の音楽ファンをうならせる 音を作り出すことが出来れば…と思うのだが。

本作の特典すべきことは、 彼女自身の声を一素材としているということ。 キャラクターの魅力を極力排して、 あくまでも声を音のひとつとして処理する作りになっている。 彼女の声自体が無機的ということもあるのだが、 これもまた、優れた表現方法であり、 アルバム製作スタッフによるコンセプトの勝利という気がする。

いずれにしろ細野晴臣のモナド系統の音であり、 後のLOVE,PEACE&TRANCEの前哨にもなる音ということで、 細野派は必聴アルバムといえよう。


今日のひとこと:
細野晴臣、吉川洋一郎といった作曲者の豪華さも聴きどころの一つ。


1991年05月21日CD発売
「春の夢/川村万梨阿」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「Planet Blue/川村万梨阿」
作曲ラジということだけでも驚き。

MUSIC
「月夜の子猫/川村万梨阿」
細野晴臣作曲。もう一つなにか欲しいのだが。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月24日分


・本日のインプットメディア

写真集/TOKYO NOBODY/中野正貴
写真集/JAPAN UNDERGROUND/内山英明
写真集/部屋と下着/宮下マキ
テーマは違えど根底に流れているものは同じ。



2000.09.25(月)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など

メディア日記という生き方


久しぶりにメディア日記メインページを 見てみると自分でも気づかない間に62ページもの分量になっていた。 そしてつい読み返してみたのだが、止らなくなってしまい、とうとう最後まで読み通してしまった。 自分で言うのもなんだが、内容の濃さ、自分のマニア度に改めて驚いてしまった。 また同時に自分で書いた記憶がないものが多い。 深夜作業で疲労困憊しながらの作業であり、 逆に作為的なものがなくなっている、ということなのかもしれない。

記念すべき第一回は1998年4月22日。 途中一ヶ月ほどの休止時期があったものの、 それ以降ほぼ毎日更新作業を続けて2年半、 自分で書くのもなんだが、よく続いたものだと思う。 順調に毎日書くことができた時期もあれば、 所用で3日ほど書けなかったことなど、 色々なことが思い出される。 また少なくてもネタに困ったことはない。 書くことは苦ではなかったし、 単に時間の問題だけが更新作業にとってのネックになっていた。

メディア日記の特徴として、 私生活について書かない、 自分が好きではない音楽については触れない、 毎日更新を心がけるといったようなことを 目標に書き続けたような気がする。 あくまでも主役は音楽や本といった媒体で、 個人というものは脇役に過ぎないのだということを常に意識していたような気がする。

同時にメディア日記を読みかえしてみて、 この場がなければ自分自身が つまらない生活を送っていたのではないか。 少なくてもこの日記を書く時だけは真剣に物事を考えていた。 少なくても日常生活よりも。

果たしてどんな方々がこのメディア日記を読んでいるのか分からないが、 これからもその誰かがこのメディア日記を楽しんでくれたら、そう考えている。 例えそれが少数派だったとしても。


今日のひとこと:
メディア日記に他者のメディア日記の連載というのもいいかもしれない。


メディア日記という生き方

本日聴いた楽曲など MUSIC
「波雲/西村由紀江」
激しくも美しい生き方。

MUSIC
「エーテルダンス/高野寛」
メッセージソング。過激な思想はオブラートに包んで投与、効果は後からじわじわと効いてくる。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月25日分
伝言板169−HIKBさん


・本日のインプットメディア

特になし



2000.09.26(火)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
MUSIC

ビックリパーティーのテーマ/細野晴臣 高橋幸宏


YMOリアル体験派にとって一種バイブル的存在の雑誌だった サウンドール12月号にはこの楽曲が収録されている 「音版ビックリハウス〜ウルトラサイケ・ビックリパーティー」 のレコーディング記録が掲載されている。 1982年9月13日から事実上製作開始された本音版、 10月29日まで実作業が行われたようだ。 そして本「ビックリハウスのテーマ」は10月7日レコーディング、 細野晴臣がイミュレーターでブラスを、 高橋幸宏がその他すべての演奏を手がけたとある。

現在もっとも廉価でこの曲を聴くことができるのは、 「THE VERY BEST OF \EN LABLE VOL.1」だが、 現在は廃盤の可能性もある。 権利を所有していると思われる東芝EMIには再発作業をがんばってほしい。

正当的な楽曲も、アイドルに提供するポップな楽曲も好きだが、 企画モノも捨て難い。アルコ堂主宰者が考えるポップの定義とは 分かりやすいということだけではなく ユーモアもしくは毒があるものを示す言葉なのだが、 この楽曲にもユーモアを感じる。しかも余裕すら感じる。

笑えるということだけがユーモアではない。 品がないポップはもういい、癒しの音楽という言葉ももう聞き飽きた。 ポップな感覚あふれるそんな音楽を聴きつづけたい。


今日のひとこと:
坂本氏の「ビックラゲーションのテーマ」にも同じポップ加減を感じる。


1982年12月16日カセット発売
「ビックリパーティーのテーマ/細野晴臣 高橋幸宏」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「GOOD TIME/高橋幸宏」
インストヴァージョンもなかなかいい感じ。 高橋氏のセリフも捨て難いけれど。

MUSIC
「音楽列車/ワールドスタンダード」
音質が悪い過去の音源を聴いてみたが、 これもまたいい味を出している。 大切なの音質ではなく音楽そのものだということか。いいものはいい。簡単な話。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月26日分


・本日のインプットメディア

BOOK/ヤポネシアちゃんぷるー/吉村喜彦+垂水健吾
BOOK/ここがへんだよ!宇宙人



2000.09.27(水)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
写真集

TOKYO NOBODY/中野正貴


本を読むことが好きだが、写真集を読むことも好き。 見るではなく読むという部分が大切なのだが。 中でも人が写っていない写真集がいい。 といっても風光明媚な美しい自然風景の写真集ではなく、 都市、廃墟、天体写真、物語が感じ取れるような類の写真集なのだが。 例えば昨年アルコ堂ベスト3に入った「FULL MOON」などはそのいい例。

街から人がなくなり、残されたのは建物だけ。人間が作ってきたものは何だったのか。 自然との共存を拒否し、作っては壊し、壊しては作り、創造と破壊を繰り返してきた歴史がここに。

この写真集には人間が一人も存在していない。 写っているものは1990年から2000年まで都市そのものの姿。 ビル、高速道路、多数の建物。動くモノ、生きているモノの気配が全く皆無。 渋谷、青山、麻布、銀座、新宿、湾岸という場所にただ佇む建造物群の姿は、 あたかもすべての人類が死滅した後の都市の姿にすら思える。 ある意味で都市自体の優れた記録の書になっている。

「マッドマックス」以降、あるいは「ブレードランナー」以降の未来感というものは、 それぞれ戦争後の荒廃した自然、あるいは デッドテックな未来というようにある意味イメージづけられてしまった。 そこには既にかつて60年代の輝かしい未来感はなく、 ただ退廃だけがあるのだが、 この写真集で提示する未来感というものは、 それらを凌駕する未来のイメージ。 池澤夏樹の作品に「北への旅」短編小説があるが、 あの感覚に近い。人々は原因不明(?)の病に倒れ、 人類の歴史にピリオドが打たれるが、 人類が残した建造物だけが残り、 静かに佇んでいるという感覚が今の自分にとって身近な未来であり、 この写真集から伝わるものに近い気がする。

そして、写真の一枚一枚から風のように吹き込んでくる音、音、音。 その音はかつて聴いたことがない音楽であり、 これからも聴くことが出来るかどうか分からない音楽。 それでも頭の中ではその音楽は確実に鳴り響いている。 実は実際に音楽を聴く以上にその音楽に耳を澄ますということが、 自分にとって音楽を聴く、という一つの行為なのかもしれない。

写真集の最後を飾るのは、雪に包まれる都市の姿。 その静寂な姿に言葉を失いつつも、美しさを感じて しまったことをここに告白しておこう。


今日のひとこと:
出版元のリトルモアは第二のリヴロポートに成長してほしい。


2000年08月01日第1版発行
「TOKYO NOBODY/中野正貴」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「DELTA RAIN DREAM/ジョン・ハッセル&ブライアン・イーノ」
「TOKYO NOBODY/中野正貴」に合う音楽に近いのはこんな音楽かもしれない。

MUSIC
「CLOSE TO YOU/Paris Match」
カバーはこれくらいやらないと面白くないのかも。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月27日分


・本日のインプットメディア

特になし



2000.09.28(木)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
BOOK

キス/キャスリン・ハリソン


まず最初にアルコ堂主宰者は血の物語を信じていないということを 断っておきたい。

若くして結婚した父と母は、娘が生まれるとまもなく離婚。 成長した娘は大学生となり、父は離れた町で、牧師として新しい家庭を築いた。 そして、運命の再会。父は娘の美しさに目を奪われ、 娘は父の登場に心を奪われる。やがて二人は、近親相姦という暗い谷底へと落ちていった。

大好きな短編小説「帰ってきた男/池澤夏樹」と「新世紀エヴァンゲリオン」との共通点は、 自分というものがなくなった一体化状態の世界を否定して、 個の世界へと帰ってきたという部分だと思っている。 自分以外の人間と同化することで苦痛や痛み、憎しみなど、 人間の持つ業から解放されるが、 同時に個々が持つ大切なものが失われてしまうことでもある。 この物語の主人公も最終的に個へと戻っていく。(ように見えるが…)

この物語でも重要なことは、父と娘が同化する部分ではなく、 むしろ二つの死に伴う父と娘との解離部分にこそある。 結局、個と個は分かり合えるようで分かり合えないそんな存在なのかもしれない。 そして、情熱や欲望ではなく、哀しみと別れにこそ この物語の本質は隠されている。


今日のひとこと:
新潮クレストブックスは本当に質がいい。


1998年05月30日第1版発行
「キス/キャスリン・ハリソン」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「ザ・ジョーカー/セルジオ・メンデスとブラジル68」
イギリスのミュージカル主題歌がオリジナル。男女のヴォーカルとコーラスが絶品。

MUSIC
「工場見学/ゲルニカ」
嗚呼、大正風音楽。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月28日分


・本日のインプットメディア

BOOK/魔法のBEAT/長門芳郎



2000.09.29(金)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
CD

フィルハーモニー/細野晴臣


良質なポップ的なるものには毒があり、 同時にユーモアがあると思っているのだが、 このアルバムにもまたそのポップな感覚を感じる。

楽曲ももちろんのことだが、 このアルバムでの細野晴臣氏の サンプリングに対する方法論はユーモアに溢れている。 この時期およびサンプリングサウンド全盛期には、 音響に過激な表現が目立っていたように思う。

もっとも、新しい技術を得ることで音楽という表現が変化することは、 言うまでもないわけで、その過渡期において様々な表現方法が 乱立することはやむを得ない。自分自身、過激な音作りがされた曲に 惹かれるし、今でもその時期に作られたサンプリングアルバムが愛聴盤だったりする。

「フィルハーモニー」では過激な音響表現が最小限に押さえられていて、 アルバム全体がキュートなサンプリング音に満ち溢れている。 当時最新の技術が集約された楽器であった「イミュレーター」。 当然のことながらサンプリングという言葉が存在していない時期でもあり、 その未知なる楽器を目の当たりにした細野晴臣氏の心境たるや、 アフターYMO的なる新しい段階の音楽が見えたのではないか。

結果、「イミュレーター」を楽器の代用として捕らえるのではなく、 自身の声、様々な自然音など「楽器ではないそれ以外の音」を音源とし、 シーケンサーとリンク、即興的とも思えるような楽曲を作りあげる結果になった。

今ではサンプリングという技術は普遍化したが、 このアルバムが今だに新しい何かを秘めているように感じるのは、 実はそのサンプリング技術にはないような気がする。 前言を撤回するようだが、やはり細野晴臣のユーモアあふれつつ、 毒が隠されたポップ感覚にあるような気がするのだ。 また、聴き込んでいくと様々な音楽のルーツを探し出す旅に出ることも可能という、 実に奥深いポップアルバム。

「ユーモア」と「毒」という相反するようなものを持っている音楽を これからも見つけだし、聴きつづけていきたい。


今日のひとこと:
やはり個人の頭で作ったような自閉しているアルバムが楽しい。 例え、純文学的な音楽といわれようとも。


1982年05月21日LP発売
「フィルハーモニー/細野晴臣」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「AB1013/立花ハジメ」
これCMに使われたような気がするのだが…。

MUSIC
「リュウグウ/テストパターン」
ユーモアあふれてますね。毒が感じられないのが残念だけど。

本日のメモ
・本日の更新情報

1983YMOカレンダー−1983年09月29日分


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特になし



2000.09.30(土)

メディア・タイトル 感想(その日の気分)・備考など
CD

FATIMA DANCING/北川晴美


今日は久しぶりに嬉しいことがいろいろあった。

その一つがこの「FATIMA DANCING/北川晴美」に某全国規模の中古本屋で再び 巡り合えたということ。ずいぶん長い間探していたCDだけに見つけた瞬間の感激ときたら。 記憶では1988年4月に購入して1990年に 手放して以来だから約10年ぶりの再会ということになる。 いったん手放して再度聴きたくなった時、あまり出回っていないCDは 入手がかなり困難になるため、今後気をつけようと思う。

このアルバムの何が自分を引き付けていたのかというと、 プロデューサーに矢口博康氏を迎えて製作されたということ、 演奏メンバーがいわゆる「shi-shonen」のメンバー(ただし戸田、福原は除く。 またある意味では裏フェアチャイルドともいえる) ということもあるのだが、なんといっても鈴木さえ子による「MAKE ME UP」が、 忘れられなかったということもある。アルバムの一曲目を飾るこの曲、 鈴木さえ子の本領発揮というような曲で、耳に残ったのだった。 この曲を聴いた瞬間、あの頃の高揚感が甦ったのだった。

また、この1988年4月はこのアルバムとほぼ同時期に 遊佐未森のファーストアルバムが発売されたこともあり、 印象深い月になっている。結果として遊佐未森の音楽を追求することになり、 北川晴美の音楽とは離れたが、遊佐未森ではなく別の音楽世界を追求する 可能性もあった分起点の月だったようにも思う。

とにかく、このアルバムに再度出会えたことは一つの幸福であり、 なにかの啓示なのかもしれない。これから大切に聴きつづけていきたい。


今日のひとこと:
見つけた瞬間、思わず声が出た。


1988年04月21日CD発売
「FATIMA DANCING/北川晴美」

本日聴いた楽曲など MUSIC
「HORIZON/北川晴美」
リズムがいい。職人芸を感じる。

MUSIC
「キレイになるから/Miyuki」
サウンドと声がいい。あとは…。

MUSIC
「火星/テイ・トウワ」
音がとにかくいい。大音響で聴くと音圧がすごい。

本日のメモ
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1983YMOカレンダー−1983年09月30日分


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